エイビーウォール(落石対策)

斜面法尻の掘削を最小限にできる新たな落石防護擁壁工

斜面法尻の掘削を最小限に出来る工法のため、斜面下部での擁壁施工時の安全確保および仮設工不要により施工性・経済性が向上し、斜面法尻掘削に伴い斜面崩壊が懸念される箇所や、支持層が深い箇所に有効な工法であります。

エイビーウォール断面
提案工法イメージ

提案工法イメージ

従来、落石防護擁壁は直接基礎による重力式擁壁が一般的に用いられていますが、支持力が十分に期待できない基礎地盤の場合には良好な支持層まで掘削し良質な材料と置き換える必要があります。

しかしながら、擁壁背面と落石発生源である斜面との距離が短い場合には、置き換え基礎の施工に伴う斜面法尻の掘削による斜面崩壊の危険性が懸念されます。

したがって置き換え基礎を発生させず斜面法尻の掘削を最小限に出来る新たな工法として、杭基礎を採用したパイルベント式落石防護擁壁を開発しました。

さらに、落石衝撃力の分散・緩衝による壁体の損傷防止や杭基礎規模の最小化(コスト縮減)を目的として、二層緩衝構造も併用しました。

この技術は、寒地土木研究所寒地構造チームと室蘭工業大学との共同研究により、実現しました。

エイビーウォールは、こんな場面で有効活用が出来ます。

  • 斜面法尻掘削に伴い、斜面崩壊が懸念される箇所
  • 用地制約がある箇所
  • 支持層が深い箇所
  • 落石エネルギーが比較的大きい箇所(160KJ未満)
  新技術 従来技術
  二重緩衝構造を併用した杭付き落石防護擁壁 重力式落石防護擁壁
概略図
新技術概略図
従来技術概略図
現場条件 ・斜面法尻掘削に伴い斜面崩壊が懸念される箇所および支持層が深い箇所
・落石径φ70cm、落下高さ40m程度(落石エネルギー160kJ)
・崩土規模80m3、落下高さ70m程度(崩壊衝撃力110kN/m)
工 期
約6ヶ月
約9ヶ月
施工性 躯体規模が小さく、施工時の仮設工が不要である 躯体規模が大きくなり、施工時の仮設工が必要
安全性 ・斜面法尻の掘削が不要のため施工時の安全性確保が可能 ・斜面法尻の掘削が発生し、施工時の斜面崩壊が懸念される
・置き換え基礎施工に伴い、道路側にも仮設工が必要となる
経済性
600千円/m(工事費)
900千円/m(工事費)
備 考 特に斜面近接箇所や支持層が深い(地表より2m以上)箇所および用地制約がある場所で有効な工法 支持層が浅く(地表より2m以内)、設置スペースが大きい箇所で有効な工法
評 価

二層緩衝構造とは?

二層緩衝構造イメージ
  • EPS材とRC版から構成される緩衝構造です。
  • 落石衝突部近傍の局部的なコンクリートの剥離・剥落を防止します。
  • 従来の設計落石規模以上に対しても落石防護擁壁が適用可能となります。
  • 既存の落石防護擁壁工に対して、斜面の経年変化とともに生じる落石規模の変化に追随し、補強工法としての採用が可能となります。

施工方法は、一般的な杭基礎構造物と同様です。

施工方法

施工機械として、杭打ち機およびクレーン(15t~50t)を使用するため、施工時にその重機の設置スペースが必要となります。

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